1970 年 19 巻 11 号 p. 818-823,860
Lupus nephritisでは免疫グロブリン, β_1C-グロブリンは糸球体基底膜(GBM)にかなり粗い顆粒として認められることが多い.ところが, 私達は最近, 全身症状の増悪, 血清中抗核因子のtiterの上昇とともにnephrotic syndromeを呈したSLEの2症例に腎生検を行ない, 螢光染色を施したところγG-およびβ_1C-グロブリンが1)GBMに細かい顆粒として存在すると同時に, 2)腎の構成々分すべての核に存在することを見出した.これら両例とも光顕所見は軽いglomerulitisの像を呈した.この螢光色彩像はlupus nephritisの腎生検組織ではまだ記載されたことがない新しい所見なのでここに報告し, 若干の考察を加えた.