アレルギー
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室内塵の抗原に関する研究
柿沼 光明
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1964 年 13 巻 4 号 p. 173-182,282

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抄録

我が国の気管支喘息等アレルギー疾患の重要なアレルゲンとして室内塵が挙げられており, 室内塵の化学的性質についての知識は少ない, 著者は室内塵アレルギーの多様な性格は室内塵の採取場所および患者の反応性の異なる2因子に基いていることを確認した.また化学的性質を検討せんとして, 抽出法およびいわゆる除蛋白法による分画を検討したところ, 50%飽和硫安上清, 同沈澱, 5%三塩化酢酸上清, 同沈澱の四画分は同様の皮内反応惹起能を示したが, 硫酸亜鉛濾液には抗原の大部分が消失していた.一方ウサギ沈降抗体と反応する室内塵は, 50%飽和硫安上清および5%三塩酢酸上清にのみ認められた.また定量沈降反応の沈降物の解析によっても, ウサギ沈降抗体と反応する抗原には多量の多糖類が関与していることが認められた.しかしウサギ抗体で吸収された室内塵エキスは喘息患者に強い皮内反応を惹起したのに対し, ウサギ抗体と沈降反応を起した抗原を抗原抗体沈降物から遊離してヒトに皮内反応を試みたところ, 6例中3例に陽性であった.以上の結果から, ヒトに抗原性を示す室内塵成分はウサギ抗体と沈降する抗原と異なって, 多糖類とPeptideが共に関与していると想像された.

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© 1964 日本アレルギー学会
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