日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
ワークショップⅡ
包括的プログラムにおける患者教育の実際
滝澤 真季子奥出 有香子植木 純
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 14 巻 3 号 p. 382-388

詳細
抄録

包括的な呼吸ケアを実践するためには,医療担当者と患者の双方向性の理解の深化,重症化の予防も含めた疾患への取り組み,すなわち disease management の促進が重要である.教育は,まず疾患についての正しい知識の修得から始まる.そのうえで,運動習慣の獲得や食生活,感染予防など健康増進に向けたライフスタイルの改善と自己管理能力を高めていく.アドヒアランス(納得して自分の意思で行う)の向上に向けたアプローチも必要不可欠である.患者教育は,呼吸リハビリテーションの導入時において包括的なプログラムとして提供することが最も効率的な教育方法となる.学際的医療チームには,個別的な治療方針を共有し,それぞれの患者に必要な事柄,注意点を個別に具体的にわかりやすく示し,実践していくことが求められる.現在,日本呼吸管理学会が中心となり,呼吸リハビリテーションマニュアル―患者教育,栄養指導―の作成が進行中にある.コンセンサスや実践的な方法が示され,呼吸ケアの質が向上すると同時に,患者教育に関する有用性のエビデンスが得られることが期待される.

著者関連情報
© 2005 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top