メルコ管理会計研究
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研究論文
境界連結者の行動が組織間管理会計に与える影響
静的・動的視点によるレビュー
井上 慶太
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2023 年 14 巻 2 号 p. 19-30

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抄録

本稿の目的は,境界連結者の行動やその特性に注目して組織間管理会計研究の現状と展望を明らかにすることである。レビューの結果,これまで組織間管理会計の利用の局面を中心に境界連結者の行動による影響が静的・動的視点で議論されてきたこと,また,境界連結者を取り巻くミクロ環境に関して,境界連結者としての能力向上の機会,情報システムの整備が議論されてきたことが明らかになった。これらの結果を踏まえて,本稿は,今後の研究方向性として,境界連結者の行動が組織間管理会計の設計,利用の様々な局面でどのような影響を与えるのかをさらに検討すること,およびミクロ環境については,先行研究で検討されてきたもの以外に,関係の発展度もあわせて考えることが有効であると指摘した。これらの方向性に取り組むことは,他企業との関係の運営を担うマネジャーが組織間管理会計にどのようにかかわっているのかという近年提起されてきた問いに対する理解の深化へとつながるものだといえる。

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