システム農学
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技術論文
ロンボック島における作付けシステムの分類と干ばつモニタリング
古恵良 拓哉長澤 良太
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2019 年 35 巻 4 号 p. 61-68

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抄録

干ばつよる農作物被害を最小限に抑えるためには早期のモニタリングシステムの確立が不可欠であり、そのためには多時期・多季節の衛星画像を用いた気象および農業的土地利用の時空間的な解析が有用である。耕作農地の干ばつに対する脆弱性は、地域毎に異なる作付けシステムによってさまざまである。本研究では、衛星リモートセンシングの手法を用いてインドネシア・ロンボック島において多様に展開する作付けシステムの分類と干ばつモニタリングについて解析を行った。Landsat8 OLI (Operational Land Imager)とMODIS (MODerate resolution Imaging Spectroradiometer)のフュージョン(合成)データによる多季節・時系列画像解析によって、当該地域の作付けシステムは8つのパターンに分類された。この分類結果について現地調査と超高分解能衛星画像の判読から得た教師データをもとに精度評価した結果、総合精度74.53%、Kappa係数0.67の値を得た。次に、過去15年間のTRMM (Tropical Rainfall Measuring Mission)降水量データの解析から多雨年、標準年、少雨年を設定し、各年の8つの作付けシステム毎にMODISから求めたVegetation Health Index (VHI)の季節変動を解析した。その結果、水田2期作と雨季のみ畑作を行う地域で特に干ばつが発生する可能性が高く、年間を通じた畑作地域や水田3期作では可能性が低いことがわかった。

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© 2019 システム農学会
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