臨床リウマチ
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誌上ワークショップ 関節リウマチのコホート研究
秋田コホートにおける関節リウマチ診療の実態
宮本 誠也杉村 祐介柏倉 剛浦山 雅和小林 志櫻場 乾伊藤 博紀相澤 俊朗加茂 啓志青沼 宏小西 奈津雄片岡 洋一宮腰 尚久島田 洋一秋田整形外科リウマチグループ (AORA)
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2015 年 27 巻 2 号 p. 135-145

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抄録

背景:2010年7月,秋田県のリウマチ診療に関わる整形外科勤務医と開業医を統合し,秋田整形外科リウマチグループ(Akita Orthopedic group on Rheumatoid Arthritis;AORA)を設立した.メンバーによる診療範囲は,県内のほぼ全域をカバーしている.秋田県は面積が約11,600km2,推計人口が約103万人(2015年2月現在)で東北の日本海側に位置している.AORA registryから得られるデータは,実臨床を反映しており,その特徴は地域住民の異動が少ないことから長期観察できること、長距離移動ができない患者さんも含まれることである.
目的:AORA患者データについて収集・解析したので報告する.
対象・方法:2010年からAORA所属の28施設32医師が診療している患者を対象とした.
結果:2014年の登録では,症例数は1987例,平均年齢66.4歳,女性80%,平均罹病期間12年であった.メトトレキサート(MTX)は56%,副腎皮質ホルモン(PSL)は44%に投与されており,生物学的製剤の累積使用数は619であった.登録症例数は年に約10%ずつ増加していた.2012年から疾患活動性も調査し,DAS28ESRは3.20±1.27(2012年)から3.04±1.22(2014年)まで低下し,低疾患活動は51%であった.
結語:AORA registryには,2014年に1987例が登録されていた.AORA施設は,患者の居住地近隣の施設なので治療継続率は高い.将来のRA治療を発展させるためには,地域医療における実臨床データを長期間観察することが重要と考えられる.

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© 2015 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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