2015 年 38 巻 p. 104-109
若者が社会の一員として円滑なコミュニケーションを行うためには,正しい敬語で会話できることが必要である。近年では,手軽に敬語が学べるWebシステムが存在しているが,その多くは単純に出題された問題を解く形式であり,学習者が持つ知識に基づいた学習環境を提供しているとは言えない。そこで,本研究では学習者がどれだけ敬語を理解しているかを測定した後に学習習熟度に合わせた問題を推薦するシステムを実装した。具体的には,学習者が受けたプレースメントテストの結果から学習者の敬語の得意箇所,不得意箇所を判定する。学習者が誤っていた敬語から,日本語コーパスに則った正しい敬語が使えるように支援する。 本研究では学習者に学ばせる方法として,敬語を無作為,敬語を得意箇所,敬語を不得意箇所の3方法の違いを明らかにする比較実験を行った。その結果として,無作為に学ばせる方法,及び正解箇所が多い得意な領域を優先的に学ぶ方法よりも,敬語の使い方を間違っていた箇所が多い苦手な領域を優先的に学ぶ方法に学習効果が認められた。