医療情報学
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特集 厚生労働科学研究成果報告書 第3回
腎臓病データベースの拡充・連携強化と包括的データベースの構築
柏原 直樹岡田 美保子横山 仁南学 正臣山縣 邦弘和田 隆志中島 直樹杉山 斉丸山 彰一岡田 浩一神田 英一郎片岡 浩巳
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2020 年 40 巻 1 号 p. 20-21

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抄録

1. 研究目的

 日本腎臓学会は日本医療情報学会と共同し,全国規模の包括的慢性腎臓病臨床効果情報データベース(J-CKD-DB)を構築した.CKDはeGFR 60 mL/分/1.73 m2未満,あるいはタンパク尿(+)で定義され,個々の腎疾患を包含する広範な概念である.全国に約1300万人の有病者が推計され,増加が危惧されている.CKDの実態(年齢ごと,重症度ごとの有病率等),診療実態,標準的治療法の準拠率等は不明であった.厚生労働省標準として電子カルテ(EHR)のデータを標準形式で格納するSS-MIX2標準化ストレージがある.J-CKD-DBはSS-MIX2からCKD該当例のデータ(患者基本情報,処方,臨床検査,等)を自動抽出してデータベース化するものである.

 一方,日本腎臓学会は腎臓病に関する規模の異なる複数のデータベースを構築してきた.(1) 腎生レジストリ(J-RBR),(2) 各種腎疾患DB(J-RBRから生成);難治性ネフローゼ症候群(JNSCS)等の疾患単位のDBである.(1),(2)はいずれもWebを用いた手作業での入力で,入力負荷が大きく,数10万人規模以上のDB構築が困難等の課題に直面していた.またJ-CKD-DBとの連結方法も未開発であった.上記課題を克服し,腎臓病に関する全国規模の包括的データベースを構築し,腎臓病の実態調査,予後規定因子の解析,腎臓病診療の質向上,健康寿命延伸に寄与することを目的とした.

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© 2020 一般社団法人 日本医療情報学会
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