2023 年 69 巻 3 号 p. 120-128
北海道のケンタッキーブルーグラス(KB)-シロクローバ(WC)混播草地における草種構成および地上部生産量の長期的変動とその要因を明らかにする目的で,乳用種育成牛を連続放牧し,土壌化学性,草種構成,日乾物生産量を16年間調査した。土壌中施肥成分含量を基準範囲内に維持することで,KBの年平均乾物重割合は39-65%,WCのそれは9-39%の範囲で維持された。年平均日乾物生産量は2.1-5.3 g DM/m2の範囲で変動し,5-10月の合計降水量とシロクローバ年間平均乾物割合が多いほど増加した。これまでの成果を踏まえ,北海道のKB-WC混播草地は省力的放牧利用条件において,長期間にわたり安定的な草種構成のもと一定程度の地上部生産量を有すると結論した。