日本草地学会誌
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付着乳酸菌事前培養液を添加したアルファルファ(Medicago sativa L.)サイレージの発酵品質ならびに反芻家畜によるエネルギーと窒素の利用性
曹 力曼後藤 正和苅田 修一山本 泰也水谷 将也出口 裕二浦川 修司前川 縁川本 康博増子 孝義
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2002 年 48 巻 3 号 p. 227-235

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抄録

アルファルファ1番草を刈取り,予乾(W区),予乾+付着乳酸菌事前培養液(FJLB)(W-FJLB区),無予乾+FJLB(D-FJLB区)の3処理でロールベールサイレージを調製し,成分組成と発酵品質に及ぼす影響を調査した。また,ルーメンフェステル装着の乾乳牛2頭に,W区,W-FJLB区,D-FJLB区のアルファルファサイレージ,エンバク乾草,皮付き圧扁大麦による混合飼料(TMR)を給与し,FJLB添加がルーメン微生物叢とその消化活性,エネルギー・窒素利用性に及ぼす影響を比較検討した。なお,TMR中の可消化養分総量(TDN)はアルファルファサイレージ50%,エンバク乾草30%および皮付き圧扁大麦20%によって充足させた。FJLB添加はアルファルファサイレージの発酵品質を有意(P<0.05)に改善し,サイレージpHを低め,揮発性脂肪酸総量や乳酸含量を高めた。同様に,FJLB添加はアルファルファサイレージのin vivo乾物,有機物,可溶無窒素物ならびに粗繊維消化率とTDN含量を有意(P<0.05)に高めた。W-FJLBサイレージとD-FJLBサイレージのTMR給与時の乾乳牛による窒素蓄積量はW区の場合よりも有意(P<0.05)に高く,これは,尿中アラントインの排泄量の増加にみられるように,窒素とエネルギーの同調的供給による微生物増殖の増加と関係づけられた。

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© 2002 著者
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