飼料用トウモロコシの稈汁ブリックス値は茎葉消化性の育種的改良を進める上での指標形質として着目されている。本報では,稈汁ブリックス値およびこれと乾物率から算出した推定糖含量について世代平均分析により相加・優性効果の推定を行うとともに,稈汁ブリックス値の稈乾物率による補正の安否を検討した。Na26×Oh43HtとNa7×Oh43Htの自殖系統間の2組合せについて両親,F_1,F_2,B_1,B_2を対象に世代平均分析を行った。稈汁ブリックス値と推定糖含量では共に優性効果よりも相加効果が重要であることが示された。各分離世代の個体間で稈汁ブリックス値と推定糖含量との間に認められた相関は,r=0.608^<**>〜0.977^<**>と高かったが,ブリックス値が9〜10%以上でやや低い傾向が認められた。これらのことから,高稈汁ブリックス値系統の選抜は比較的容易であると推察され,F_1組合せの稈汁ブリックス値は両親系統の平均値にほぼ近似すると考えられた。また,高茎葉消化性系統の簡易選抜は,まず稈汁ブリックス値によって多数系統を一次評価した後,少数の選抜系統を対象に推定糖含量による二次評価を行えば,的確に実施できると考えられた。