日本草地学会誌
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ネピアグラス(Pennisetum purpureum SCHUMACH)の生産性および飼料価値に関する研究 : 1.窒素施用が生産におよぼす影響
宮城 悦生
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1981 年 27 巻 2 号 p. 216-226

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抄録

窒素施用がネピアグラスの生産に及ぼす影響を検討するため,沖縄の代表的土壌であるジャーガル地帯で10a当り年間窒素施用量を0kg (N-0),30kg (N-30),60kg (N-60)および90kg (N-90)の試験区を設定し,1976年と1977年の2ヵ年間試験を実施した。生草収量は1976年および1977年とも年間10a当り窒素施用量60kg以上で30t/10a以上が得られた。同様に乾物収量についても4.5t/10a以上の収量が得られた。茎数には窒素施用の影響はほとんどみられなかったが,一茎重には窒素施用の影響が認められた。草丈,一茎当り葉数および一葉当り葉面積にも窒素施用の影響が認められ,N-60,N-90とN-30およびN-0との間に有意差が認められ,草丈はN-60とN-90で高温時に200cm以上に達し,一茎当り葉数はN-60とN-90で高温時に9葉以上の数値を示した。また,一葉当り葉面積もN-60とN-90で高温時に250cm^2以上の面積を示したが,葉重比はN-0が高く窒素施用量の増加にともなって減少する傾向を示した。LAIとCGRにも窒素施用の影響が認められ,N-60,N-90とN-30およびN-0との間に有意差が認められ,LAIはN-60とN-90で刈取時にほとんどの場合9以上に達した。CGRもN-60とN-90のmax CGRが収量の多い9月頃まではほぼ200g・m^<-2>・week^<-1>以上の高い値を示した。NARは15〜50g・m^<-2>・week^<-1>の一般的な範囲にあったが,無窒素区と窒素施用区間に有意差が認められた。以上の結果から,ネピアグラスの生産に対する窒素施用量は60kg/10a/年が適当と考えられる。なお,窒素施用の効果は一茎当り葉数と一葉当り葉面積を増加させ,LAIの増加速度をはやめることにより,CGRの増加を促進し,その結果,乾物収量の増加に効果をもたらすものと考えられる。

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© 1981 著者
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