中学校から高等学校にかけて学ぶ平方根や対数の学習では具体の数値を扱うことは少なく,理科との境界では実の数値を取り上げる場面が多い.平方根や対数のなじみにくさには,なぜその数値となるのか実感が薄いことや10の0.3乗をイメージし難い点が推察される.これらの数値については素朴な計算の他に,開平法や上位の数学の導入などの試みがある.ただ当学年の学習内容と直結し難い面があった.本研究では教科書の学習を背景に,電卓と表現ソフトで漸近的に数値を求める実験を平方根・立方根・対数・角の等分課題で行った.近似計算には自由さがあり,対数では分数モデリングによる理解と主な因子を自由に分離できる良さが見出された.