2018 年 28 巻 5 号 p. 29-34
算数科授業における学び合いの中核を,児童が自分の考えを説明したり,他者の考えに触れたりするといった,多様な考えを交流させる場とした場合,問題解決過程で児童によって示された複数の考えについて,教師主導のもと,児童が個別に検討し洗練させていく活動として練り上げの場面が挙げられる.練り上げの場面で数学的意味を発達させていく際に,教師と児童,あるいは児童同士の相互作用には,社会数学的規範という算数・数学の授業特有の社会的規範があるとされている(Yackel & Cobb, 1996).この理論をもとに,算数科授業における練り上げの場面において有効とされる規範について整理し,練り上げを効果的に行う授業構想へのアイディアを得ることができた.