2007 年 21 巻 6 号 p. 47-50
本稿では,これまで筆者が扱ってきた三角形の諸心に関連した軌跡の探究活動について述べる。三角形ABCのある共点性を持った点に注目して,ある条件の下で三角形を変形したところ,どのような数学的に興味深い軌跡が見えてきたかについて述べる。注目すべきは,軌跡を単なる「点が通った跡」と考えるのではなく「与えられた条件を満たす点の集合」とすることで,内心や重心のような諸心は,ある条件の下に見出された諸心の特殊な場合ととらえられるということである。また,発見した軌跡がどのような概形になるかを判断する上で探究の中で発見したある命題に対して'どれほど妥当性のある実験ができるか'ということに関して,その1つの方法を紹介する。