著者らは、高等教育機関におけるキャリア形成事業の制度と運用について、大学教員や博士課程学生あるいはボスドク経験者らに聞き取り調査して、その内実に迫るための研究に着手している。本研究では2013年度に調査したエクス・マルセイユ経済学研究科の事例について報告する。本調査により、制度については博士課程が職業と見なされており、フランス政府に雇用されている身分であることが明らかになった。運用については、大学によるキャリア支援の存在が認識されていないことや、研究職を目指す場合には指導教官がキャリア支援を担うことが明らかになった。