医学検査
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結核菌特異的インターフェロン-γ遊離試験クォンティフェロン(QFT)検査の実施状況と結果解析
上杉 里枝河口 勝憲黒川 幸徳小橋 吉博通山 薫
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2014 年 63 巻 4 号 p. 497-503

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抄録

結核診断法の一つとしてのインターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)であるクォンティフェロン(QFT)検査について,当院での約5年間における検査の実施状況と結果の解析を行った.結核既感染でも陽性となるQFTは,高齢者での陽性率が高かった.「判定不可」の判定は免疫抑制状態の患者が多い血液内科,腎透析患者の多い腎臓内科で高率であった.QFT検査と同時期に実施された抗酸菌検査(塗抹,培養,PCR)との比較を行った.QFT検査陰性において結核菌は検出されなかった.QFT検査陽性の157例については,結核菌検出は18例であり,125例は抗酸菌検査陰性であった.QFT検査陽性例について,抗酸菌検査の結果別にQFT測定値を比較検討した.測定値の平均値は抗酸菌検査陰性群,非結核性抗酸菌群,結核菌群の順に高値となる結果であったが3群間に有意差は認められなかった.QFT検査陰性症例からは抗酸菌検査で結核菌は検出されなかったことから,QFT検査は結核診断の第一選択スクリーニング検査として有用であると思われた.しかし,QFT検査陽性の場合には,その測定値での判断も困難であり,症状,既往歴,他の検査など総合的な判断による診断が重要であると思われる.

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© 2014 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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