昭和医学会雑誌
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抗炎症薬Alminoprofenの初代培養ラット肝細胞および赤血球膜に及ぼす影響
坂本 浩二殿岡 まゆみ笠原 多嘉子栗本 忠伊東 秀行木田 昌平山 八彦
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1986 年 46 巻 3 号 p. 345-350

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抄録

消炎・鎮痛薬alminoprofenの直接的肝細胞障害作用を初代培養ラット肝細胞を用い, 肝細胞から逸脱する酵素等と蛋白への14C-leucineへの取り込みを指標として検索した.さらに, ラット赤血球を用い溶血を指標として膜安定化作用についても併せて検討した.初代培養ラット肝細胞での障害性試験では, 肝障害物質, 四塩化炭素 (CCl4) は, 肝細胞から培養液中にGOT, GPT, LDHおよびOCTの著しい酵素逸脱作用と蛋白への14C-leucineの取り込み阻害作用が認められた.これに比較し, alminoprofenはGPTとLDHには著明な影響なくGOTならびにOCTにおいて酵素逸脱抑制がみられ, これらの作用は, 他のフェニルプロピオン酸系抗炎症薬ibuprofen, ketoprofen, flurbiprofenでも認められた.さらに, 14C-leucineの蛋白への取り込みに対してalminoprofenは, 10-6~10-4Mのいずれにおいても著明な影響を及ぼさなかった.また, ラット赤血球膜に対しalminoprofenは, 1×10-8~5×10-4Mで軽度な溶血阻止作用がみられ, 1×10-4~1×10-2Mの高濃度では, ibuprofen, ketoprofenおよびflurbiprofenと同様に著しい溶血阻止作用を示す膜安定化作用が認められた.以上の成績から, alminoprofenは肝細胞に対し, 直接的障害作用は有しないものと考えられる.

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