昭和学士会雑誌
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症例報告
悪性軟部腫瘍と鑑別を要したchronic expanding hematomaの1例
幸地 茉莉子信太 薫
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2020 年 80 巻 1 号 p. 85-88

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抄録

手術や外傷などにより生じた血腫は通常吸収されるが, まれに慢性の経過で線維性の被膜で覆われ液体で充満した嚢胞に変化し増大することがありchronic expanding hematoma(以下CEH)と呼ばれる.CEHは一般的に外傷や手術後に生じる合併症であり, 悪性軟部腫瘍との鑑別がしばしば困難である.症例は31歳男性で5年前の外傷後に右膝皮下に生じたCEHの1例を経験した.画像検査のみでは診断が困難であり生検を施行したが出血性の悪性軟部腫瘍との鑑別に苦慮し, 全摘術を施行した.病理組織学的所見よりCEHと診断した.軟部組織腫瘍においてCEHは鑑別診断として挙げるべきものと考える.

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