昭和学士会雑誌
Online ISSN : 2188-529X
Print ISSN : 2187-719X
ISSN-L : 2187-719X
原著
大腸ポリープ鉗子摘除の臨床的妥当性の検討
日引 太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 73 巻 3 号 p. 196-202

詳細
抄録

わが国では,大腸内視鏡検査時に生検鉗子で小さな腫瘍性ポリープを把持・摘除する,いわゆる「鉗子摘除」は比較的簡便に行われている.鉗子摘除は果たして臨床的に有意義な治療手技として成立しているのか,つまり遺残・再発が他の治療手技と比較すると多いのではないか.この疑問について客観的な検証を行うため,当施設で蓄積された大腸内視鏡症例の分析を行った.当施設で施行した大腸内視鏡検査において,次回検査時における同部位のポリープ発見率によってその根治的治療効果を判定し,鉗子摘除,スネアポリペクトミー,ホットバイオプシーの各群で治療効果を比較した.その結果,鉗子摘除による治療効果はスネアポリペクトミー,ホットバイオプシーによる治療効果とほぼ同等であり,臨床的に妥当かつ有用な治療法と考えられた.ポリープを鉗子摘除によって治療する場合は,病変径が生検鉗子径とほぼ同等の3mm以下の小ポリープを生検鉗子で把持・摘除すること,と定義する必要がある.

著者関連情報
© 2013 昭和大学学士会
前の記事 次の記事
feedback
Top