1989 年 99 巻 10 号 p. 1111-
いわゆるLichen planus pemphigoidesの一典型例を報告するとともに,本症患者血清中に検出された抗基底膜部抗体の結合部位について,特に類天疱瘡,後天性表皮水疱症(EBA)におけるそれらとの異同について検討を加えた.その結果,1M NaCl処理にて表皮と真皮を分離した皮膚を基質とした蛍光抗体間接法にて表皮側に陽性蛍光が見られ,また免疫電顕間接法にて基底細胞のhemidesmosomes部にIgGの結合が観察された.これらの所見は,本症患者血清中の抗基底膜部抗体が抗体結合部位の点でEBA抗体とは明らかに異なり,むしろ類天疱瘡抗体に類似していることを示唆している.