日本皮膚科学会雑誌
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皮膚疾患における血清および組織の乳酸脱水素酵素活性およびそのアイソエンザイムに関する研究
境 繁雄
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1972 年 82 巻 11 号 p. 1105-

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抄録

健康人血清乳酸脱水素酵素(LDH)活性値は319±166Wroblewski単位で,LDH isoenzyme(LDH1-5)の含量比(%)は26.6±7.9,45.7±13.6,24.5±6.5,1.5±1.3,1.7±1.6であった.一方,健常皮膚組織LDH活性値は表皮では742±123単位,真皮では261±98単位,皮下脂肪組織では150±50単位であり,表皮のアイソエンザイムパターンはLDH5が圧倒的に多く,LDH1に向って急激に減少し,真皮ではLDH5が多いがLDH1に向って漸次減少し,また皮下脂肪組織ではLDH3をピークに各型がほぼ正規分布している等の成績を得た.皮膚悪性腫瘍患者,肝機能障害患者では血清LDH活性の上昇傾向を認め,乾癬,良性腫瘍,母斑類の病巣ではLDH活性は高値を示し,LDH5の著明な増加を伴なっていた.悪性腫瘍病巣は特異的パターンと共に高活性を示し,転移リンパ節は原発病巣に似た所見を示した.一方,瘢痕,ケロイド,神経線維腫のLDH活性は低下し,特に神経線維腫のアイソエンザイムパターンは特異的であった.

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© 1972 日本皮膚科学会
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