日本皮膚科学会雑誌
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原著
悪性黒色腫患者に対するSentinel node biopsyの経験
大塚 幹夫山口 亜紀古川 裕利岸本 和裕金子 史男岩月 啓氏渡辺 隆紀
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2001 年 111 巻 13 号 p. 1981-1988

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抄録

9例の悪性黒色腫患者を対象として当科で行ったラジオアイソトープを用いたsentinel node(SN)biopsyの結果について報告した.四肢原発例は99 mTc Sn colloidを用いることにより,全例シンチグラフィー上で鼠径部付近に2~4個の集積像が認められた.99 mTc rhenium colloidを用いた1例では10個以上の集積が認められた.体幹部原発の2例中1例はSn colloidで腋窩リンパ節に集積がみられたが,1例はSn colloidでは集積が認められず,rhenium colloidを追加で用いることにより腋窩に集積が認められた.また,顔面原発例もSn colloidではリンパ節に集積は認められなかった.術中ガンマプローブを用いてSNを同定し,その後に郭清した症例ではSNの偽陰性はなかった.以上から,Sn colloidは四肢原発例ではSN biopsyの目的に使用可能であるが,リンパ節の抽出個数が多い場合には色素法の併用が必要なこと,また原発部位によりcolloidの種類の使い分けが必要であると考えられた.

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