日本皮膚科学会雑誌
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切削油が原因と考えられた有棘細胞癌の1例
涌井 玲子浅井 寿子安江 敬
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2000 年 110 巻 14 号 p. 2231-

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抄録

77歳男性.約20年前より両手背に角化性病変が多発し,1ヵ月前よりその1つ腫脹,びらん化したため当科を受診した.初診時,両手背には大豆大までの角化性小腫瘤が多発し,右手背では直径2cm大のびらんを伴った腫瘤を形成していた.組織学的には腫瘤は有棘細胞癌で,多発する小腫瘤においては表皮下層を中心とした異型角化細胞の増殖像を認めた.患者は長年仕事で両手背に切削油の曝露を受けていたため,切削油の成分分析を行ったところ,発癌性物質の一つである3,4―ベンゾビレンを検出した.有棘細胞癌は全摘にて再発はなく,多発する角化性病変も2回に分けて切除した.

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© 2000 日本皮膚科学会
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