臨床化学
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合成ペプチドを校正物質とするペプチドマッピングによるグリコアルブミン測定
岡橋 美貴子高妻 卓司菱沼 義寛佐藤 麻紀星野 忠夫
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2008 年 37 巻 2 号 p. 171-177

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抄録

グリコアルブミン(GA)の液体クロマトグラフィ-/質量分析法(LC/MS)およびペプチドシークエンサーによる糖結合部位の検索より, GAの主たる糖結合部位がアルブミンの525番目のリジン (Lys525)であることが確認されたので, アルブミンの糖結合Lys525および糖非結合Lys525を含むペプチドを定量し, その量比を血糖動態の指標とするGAの化学量論的な測定法を新たに開発した。血漿或いは血清をエンドプロテイナーゼGlu-Cで酵素加水分解し, 得られる糖結合Lys525を含むペプチド(G-525Lys, Lys525-deoxyfructosyl-undecapeptide)と糖非結合Lys525を含むペプチド (NG-525Lys, Lys525-undecapeptide)を測定対象物質と定義した。G-525LysとNG-525Lysの合成ペプチドを校正物質とした。GAの酵素加水分解物を試料とし, 両ペプチドをLC/MSを用いて定量し, GA量表示は G-525Lys/ (G-525Lys+NG-525Lys)(mmol/mo1)とした。本法の同時再現性および日間再現性は1.0%以下と良好であり, 本法と日常測定法である酵素法およびHPLC法との相関は, 相関係数0.97以上と良好であった。本法はGA値をSI単位で表示することが可能であり, 測定対象物質が明確で化学量論的な裏づけを持つGA測定法であるといえた。

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