2005 年 34 巻 3 号 p. 205-215
アンチセンスRNAはmRNAに対し相補的な配列を持つRNAであり、細胞内にアンチセンス RNAがあると、その相補的なmRNAと結合しRNA-RNAハイブリッド形成により翻訳のステップが阻害され、タンパク合成が抑制される。一方、ナチュラルアンチセンスRNAは、相補的mRNA、あるいはアンチセンス: センスRNAに作用するアンチセンスRNAとして知られている。また、インプリント遺伝子にはアンチセンスRNAが高率に見出されている。アンチセンスRNAによる遺伝子発現制御は、種を超えた普遍的なメカニズムであると認識されつつあり、microRNAやsiRNAとの関連などを含めてRNAが遺伝子発現制御を行っている可能性が高い。今後、アンチセンスRNAの機能解析は、急速に進むものと考えられる。