臨床化学
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ラットの総蛋白, グルコース, コレステロールおよび尿素窒素の基準範囲設定において考慮すべき影響要因
豊田 直人苗代 一郎山田 雅之
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2001 年 30 巻 3 号 p. 153-159

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抄録

非臨床試験における臨床検査の基準範囲の設定を目的とし, 9施設から提供された非臨床試験の対照群として用いられた約5,000匹のラットデータを用いて, 総蛋白, グルコース, コレステロールおよび尿素窒素に影響を及ぼす要因について解析を行った。総蛋白, コレステロール, 尿素窒素は, 摂取する飼料中粗蛋白および粗脂肪の含有量の違いによって影響を受けることが確認された。さらに, これらの影響は, 長期の飼育で影響が大きくなることが示唆された。また, グルコースおよび尿素窒素は採血前の絶食によって減少することが確認された。総蛋白は, 測定時における標準品とラット試料との反応性の違いが, 測定値に影響を及ぼすと考えられた。したがって, 総蛋白, グルコ-ス, コレステロールおよび尿素窒素は, 飼料および摂餌条件別にデータを収集することが重要である。さらに, 総蛋白は, ラット用の標準品が市販されることによって, 測定データの収束が期待される。

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© 日本臨床化学会
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