臨床化学
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血清リポプロテインリパーゼは脂質代謝疾患の解析に有用か
佐竹 薫榎本 慶一郎村椿 春博
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2001 年 30 巻 2 号 p. 86-90

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抄録

脂質代謝疾患におけるリポプロテインリパーゼ (LPL) 量は, ヘパリンを静脈注射後, 血管から遊離してくる酵素を測定し解析されている。この方法はヘパリンを投与するため, 日常検査としての適用が難しい。したがってヘパリンを投与することなく, 日常的に検査に供される血清あるいは血漿に含まれるpreheparin LPL量 (以下, 血清LPL) を測定することが推奨される。今回は, postheparin LPLが相関するといわれている血清脂質および糖尿病関連物質と血清preheparin LPLとの相関について検討した。一般外来受診者の血清LPLの平均値は53.1±20.1ng/ml (155 名) であった。血清LPLと血清中性脂肪との間に負の相関 (r=-0.403) が, またHbA1cとには弱い負の相関 (r=-0.28) があった。糖尿病のインスリン治療群で血清LPLと血清中性脂肪との間に負の相関 (r=-0.315) を, 同様に経口糖尿病薬治療群でも負の相関 (r=-0.387) を認めた。被検者4名にオリーブ油を経口投与すると, 4名中3名の血清LPLは増加し, 4時間で最高値に達した。そのときの値はオリーブ油投与前の量の1.2から1.4倍であった。これらの結果は, 従来から報告されているpostheparin LPLの結果と同様であった。したがって, 血清LPLは脂質代謝疾患の解析に有用であると考える。

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