本研究ではDRY・WET系廃棄物の分別を徹底し、WET系の代表である下水も含めた横断的な廃棄物処理システムを提案し、そのエネルギー回収・CO2排出削減へのポテンシャル評価を行った。その結果、現行の集約化シナリオをどれだけ進めていったとしても、その限界は明瞭であるが、DRY系を高効率発電に有効利用すれば、約2000万トン/年という大幅なCO2排出量削減が達成できることが明らかになった。その実現のためには、具体的には、現在の廃棄物焼却施設を廃棄物分別中継施設として運用し、品質管理された高品質な可燃物を沿海部の高効率発電設備に付設したガス化設備によりガス化し、高効率発電を行うといった社会システムの実現が必要である。閉塞感のある現在の廃棄物処理行政を見直し、大幅なエネルギー回収・CO2削減を目標として、産業間連携・省庁連携に基づいた新たな大型公共投資の方向付けを行うことは急務と考えられる。