本研究ではパネルデータ分析を用いて、大気中ペルフルオロオクタン酸(PFOA)/ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)濃度に影響を及ぼす要因を明らかにするとともに排出源について考察を行うことを目的とした。2010年から2021年まで全国多地点で環境省によって測定された大気中PFOA/PFOS濃度を利用した。説明変数には、測定年度、測定地点の人口と気温を含めた。推定の結果、年度に対してはPFOAとPFOSともに経年減少の傾向にあることが示唆された。PFOAは人口が多く気温が高いほど大気中濃度が高い傾向を示したが、PFOSは有意な傾向を示さない、もしくは影響が少なかった。このことから、PFOAの主要な排出源が日用品からの揮発などと推察した。一方、PFOSは工業的使用や泡消火薬剤などを主要な排出源としており、人口や気温の影響が小さいと考えられる。