本研究では、中国において、極めて重要な課題の一つである家電廃棄物の回収問題を取り上げた。まず、マクロな側面から回収の現状と関連法制度を包括的に俯瞰した上で、中国の地域格差を考慮し、実態が明らかにされていない地方都市を注目した。特に、黒竜江省鶴崗市を研究事例として、現地調査を遂行した結果、家電廃棄物の回収主流であるインフォーマルセクターによる回収メカニズムや回収価格などの実情を質的な観点から把握することができた。さらに、実態調査の結果を分析し、インフォーマルセクターによる回収の不安定性を明確化した。同時に、インフォーマルセクターの回収効率性という長所も見いだした。今後、家電廃棄物の回収インフォーマルセクターを積極的に評価する上で、内発的な作業者自身のイニシアティブによる組織化へ移行するための実践的な展開が重要になると考えられる。