2022 年 31 巻 2 号 p. 108-113
原始惑星系円盤は,今まさに惑星が形成されている現場を我々に見せてくれる一方,天体までの 距離は典型的に100 pc程度であり,その遠さからダストのミクロ物理を制限するのは簡単ではありません.対して隕石や太陽系内天体は,その近さゆえ様々な角度から惑星形成に制限を与えてくれますが,約46億年前に起こった太陽系形成を今直接見ることはできません.私は,特に原始惑星系円盤の観測を念頭に置きながら,ダスト集合体の数値計算や原始惑星系円盤における観測予測,更にALMAを用いた偏光観測を通して,惑星形成過程の研究を行ってきました.本稿では,これらの私の研究について,その本筋の考え方が伝わるよう紹介したいと思います.