日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第8回日本ロービジョン学会学術総会/第16回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 合同会議
セッションID: PII-03
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ポスター II
スタンプルーペの倍率表示方法
*田辺 正明辻 一央
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抄録

【目的】ルーペを選ぶにはメーカーが表示した倍率を参考にしている。倍率の表示方法にはルーペの屈折力をFとすると、F/4、もしくはF/4+1の2通りが通常使用されている。しかし、スタンプルーペの場合、記載された倍率はそのどちらでもないので、倍率の算定方法を明らかにした。
【方法】調査したスタンプルーペは、ウィナー、PEAK、エッシェンバッハ、おんでこ製の4種類である。それぞれのルーペの表示倍率を調べ、主点屈折力、高さを計測した。材質はウィナー、PEAKはガラス、エッシェンバッハ、おんでこはアクリルなので、屈折率はそれぞれ1.52、1.49とした。レンズの主点屈折力はカートン製レンズメジャーで計測したカーブから求めた。まず、1) スタンプルーペの基本構造から求める倍率は横倍率(β)なので、"β=虚像の大きさ/物体の大きさ"を計算し、2) 実際にルーペを通して見える像の大きさが物体の何倍かを実測し横倍率と比較した。さらに、3) 調節力を利用した倍率、"β×参照距離/目と虚像間の距離"を表示倍率としたときの目とルーペ間距離を求めた。
【結果】主点屈折力はウィナー 15.50D、PEAK 20.50D、エッシェンバッハ 20.73D、おんでこ 16.96Dであった。メーカー表示倍率はそれぞれ7×、表示なし、1.8×、4×、横倍率はそれぞれ1.55×、1.80×、1.64×、1.73×、実測値はそれぞれ1.50×、1.80×、1.60×、1.70×となった。表示倍率を得るための目とルーペ間距離は、ウィナー 2cm、エッシェンバッハ 20cm、おんでこ 7cmであった。
【考察】スタンプルーペの表示倍率は通常用いられる計算方法ではなく、横倍率が基本であるが、実際は各メーカーが自由に倍率の定義を決めており、おんでこの表示倍率は横倍率を二乗した面積比に近くなった。

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© 2007 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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