霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-203
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ポスター発表
ニホンザルいおける乳児選好性の検討:顔・性・年齢・異種の効果
*佐藤 杏奈*香田 啓貴*南雲 純治*正高 信男
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抄録

 乳児に特有な物理的特徴(大きな瞳,小さな鼻や口,丸い顔,短い四肢など)は哺乳類と一部の鳥類に普遍的に存在し幼児図式と呼ばれている.これは,養育行動を引き出す鍵刺激になっていると古典的に提唱されているが,ヒト以外の動物を用いた研究は少ない.われわれは先行研究で,視覚対呈示法を用いて,カテゴリーの弁別能力の有無及び乳児画像への選好性について調査した.その結果,オナガザル科の霊長類 2種(ニホンザルとキャンベルズモンキー)において,乳児-オトナのカテゴリーを弁別し,乳児の画像の方をより長く見ることが明らかになった.しかし,幼児図式におけるどの物理的な要因が選好性につながっているか,個体の性別や年齢がどのような効果をもたらすのか,いまだわからないことは多い.そこで本研究では,乳児選好性に関してより詳細に検討するため,ニホンザルの全身画像と顔画像,また異種の刺激を用いて選好注視法を実施し,実験動物の性別や年齢ごとの群間比較を行った.
 これらの結果から,ヒト以外の動物における乳児画像に対する選好性について議論し,乳児選好性や養育行動の進化的な起源について考察したい.

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© 2013 日本霊長類学会
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