霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: R-10
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ポスター発表
研究資源配布システムとしての大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)の概要と事例報告
*倉島 治落合-大平 知美赤見 理恵吉川 泰弘松沢 哲郎平井 百樹長谷川 寿一
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抄録

「大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)」はこれまで、研究者、飼育施設関係者、そしてその中間にたつ資源仲介者の三者にて、立場を越えたネットワークを築いてきた。そのネットワーク上でおこなわれることの中心は「国内大型類人猿の基礎的情報の集積および公開」、「非侵襲的手法での研究利用推進」、そして「不慮の死があった場合の遺体の研究利用」である。これらのうち、遺体の研究利用として10例の死亡個体由来資源配布をおこなってきた(チンパンジー6例、ゴリラ1例、オランウータン2例、ボノボ1例)。利用研究事例数も約100件となり、分子生物学、神経科学、解剖学、薬学などの多様な分野へ研究需要が広がってきた。こうした資源利用の全体像から、GAINはどのような分野の研究者へ、どのような資源を、どのような状態でこれまで配布してきたか、それはどのように利用されてきたか、つまり、GAINが現状ではどのような研究分野への支援となってきたかを示す。また、個別の配布事例として、情報伝達・資源受け取りの経緯、実際の資源の移動と配布の様子、作業の内訳(作業全体のうち、どの部分をGAIN内部でおこない、どの部分を協力機関にておこなったか)などを示す。これら研究利用者の全体像および個別の配布事例から、資源配布の問題点や今後の課題についても示す。

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© 2005 日本霊長類学会
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