日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: PW-13
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一般演題(ポスターワークショップ)
関節リウマチによる骨破壊病態における骨免疫修飾物質としてのドパミンの影響
*花見 健太郎中野 和久山岡 邦宏田中 良哉
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抄録

関節リウマチ(RA)の罹患関節では骨吸収が亢進した病態が形成されるが、RAを有する中枢神経障害患者の麻痺側では骨破壊が抑制されることが知られ、骨破壊病態への神経系の密接な関連が示唆されている。我々は、代表的な神経伝達物質であるドパミンがRAの炎症性滑膜の樹状細胞内に豊富に存在し、関節炎動物モデルにおいてドパミンD1様受容体阻害薬が滑膜炎症を抑制することを報告している。 今回ヒト末梢血由来CD14陽性細胞を用い、M-CSF/RANKL刺激による破骨細胞形成系におけるドパミン関連刺激の直接的な影響を検討した。ドパミン受容体にはD1, D5 (D1様受容体)、D2-D4 (D2様受容体)が存在するが、初めにヒト破骨細胞前駆細胞にD1~D5ドパミン受容体の発現を確認した。次に培養開始後に添加したドパミン及びD2様受容体作動薬が、14日目のTRAP陽性多核細胞数及びpit formation assayにより破骨細胞形成を抑制する結果を確認した。また、D2様受容体作動薬刺激にて破骨前駆細胞内のcAMP濃度が低下する事を確認した。D2様受容体からのシグナル増強によりcAMPに応答した認識配列に結合する転写因子CREB経路が抑制され、破骨細胞分化の必須因子であるc-FOSの抑制を介して破骨細胞分化抑制といった経路が推察された。我々の結果は、RA病態において神経伝達物質ドパミンを介する新規の神経骨免疫軸の介在を見いだし、この発見は自己免疫炎症・骨吸収の病態解明と治療応用という両面からの効果が期待されるものであった。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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