日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W7-1
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ワークショップ7 感染症、免疫不全・免疫異常症
分類不能型免疫不全症の病態解明へのアプローチ
*森尾 友宏
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抄録

分類不能型免疫不全症(Common variable immunodeficiency: CVID)は抗体産生不全を主体とする免疫不全症で、「2歳以上で発症する低γグロブリン血症で、同種血球凝集素の欠損、あるいはワクチンへの低反応を示し、既知の免疫不全症ではない疾患」と定義されている。疾患概念が不明瞭であり、30-50%が自己免疫疾患を合併し、悪性腫瘍の発生も多いなど解決すべき問題も多い。 今までに7種類の既知の責任遺伝子が知られているが、90%以上は原因が不明である。最低10以上の原因遺伝子が存在すると想定されるCVIDの病態解明により、易感染性のみならず様々な疾患の基礎病態を明らかにすることが期待できる。 私たちは2010年より厚生労働科学研究・難治性疾患克服事業「成人型CVID研究」班を立ち上げ、小児科・内科領域へのアンケート調査から統合的データベースを構築し、256名で臨床データ・基本的検査データを収集し、そのうち156名では詳細な免疫学的解析を行った。自施設での解析では、(1) B細胞分化亜群、T細胞亜群、樹状細胞、TCRVβレパートリー、(2) B細胞/T細胞新生能を検討し、さらに理研・かずさDNA研究所にて(3)既知遺伝子探索などを行い、病歴や臨床症状・身体所見とあわせて特徴的なCVID亜群を抽出し、一方一般的な亜群の存在も明らかにした。ここでは、CVID病態解明に向けた次世代シークエンサーを用いた戦略と解析結果につき紹介する。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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