日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W5-3
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ワークショップ5 再生医学と免疫疾患
免疫iPS細胞-その臨床応用に向けて
*谷口 克
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抄録

2006年山中伸弥(京都大学)は、マウス体細胞に4種類の遺伝子を導入することで、あらゆる細胞に分化するiPS細胞(人工多能性幹細胞)を創ることに成功した。しかし、iPS細胞から目的の細胞に分化させ、治療に応用する事は難題であったが、私たちは特定機能を持つ免疫細胞を、iPS細胞から大量に創ることに世界で初めて成功した。<BR>   免疫系は、未知の病原体にも対処できる膨大な多様性を持つ。しかし「病原体」が体内に侵入してきた時、それに対応する特異的免疫細胞をいち早く増殖させるには、アジュバントが必要であり、それを担うのは「NKT細胞」である。アジュバント作用は、免疫でがんを治療する時にも重要であり、NKT細胞から「iPS細胞」を創り、そのiPS細胞からNKT細胞だけを大量に創り出すことに成功し、強力な抗がん効果を発揮する事を証明した。進行肺がんに対するNKT細胞標的治療第_I_・_II_相臨床試験で顕著な延命効果を実証している事から、iPS由来NKT細胞の実用化に期待が集まっている。<BR> iPS細胞には、多くの可能性がある。創薬コストの削減。ヒト細胞を使うことで人体への有効性・安全性を確認でき、患者自身のiPS細胞を用いて病態解析も可能になる。血液疾患・糖尿病・がんをはじめ、パーキンソン病・脊髄損傷・筋萎縮性側索硬化症・筋ジストロフィーといった難病治療への応用。さらに人工臓器や自分の細胞を保存しておくオーダーメード医療などにも応用可能である。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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