日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: PW-45
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一般演題(ポスターワークショップ)
乾癬に対するインフリキシマブのresponderとnon-responderの検討
*日野 亮介濱 佳世笛木 はるな大森 俊澤田 雄宇中村 元信
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抄録

乾癬に対してTNF阻害薬が使用されるようになり,1年が経過した。多くの患者にはめざましい効果を示したが,その一方で効果不十分な症例があることが判明した。また,TNF阻害薬の投与によって膿疱性乾癬のような皮疹を形成することもあり,paradoxical side effectと呼ばれているが,その詳細なメカニズムは判明していない。当科で乾癬に対してインフリキシマブを使用した16例につき,臨床パラメータとともに末梢血単核球を採取し,フローサイトメーターにてplasmacytoid dendritic cell(pDC), myeloid DC (mDC), Th1, 2, 17細胞の治療前後での変動を調べた。投与後6週でPASIの改善率が50%に満たなかったnon-responderは2例あり,そのうち1例は全身が膿疱化するparadoxical side effectを認めた例であった。Non-responderにおいては,末梢血のpDCの割合が治療前に高く,pDCの遊走をもたらす因子であるchemerinを血清において測定したところ,non-responderにおいて高かった。Responderにおいては,PASIの低下とともにTh17細胞の割合が減少したが,non-responderでは治療前後でのTh17細胞は皮疹の悪化に伴いむしろ増加した。また,non-responderの臨床的特徴は,infusion reactionがあり,抗核抗体陽性,IgG高値であった。皮疹については明確に比較できる特徴はなかった。これらの結果をもとに,non-responderを治療開始前に予測し,より効果的な治療に早く誘導できる可能性,すなわち,乾癬に対するテーラーメイド治療ができる可能性があると考えている。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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