日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: PW-26
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一般演題(ポスターワークショップ)
Bleomycin誘導肺線維症モデルマウスを用いたS1P3シグナルの役割の検討
*村上 憲河野 正孝角谷 昌俊藤岡 数記藤井 渉中村 薫妹尾 高宏山本 相浩川人 豊
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キーワード: S1P3, ブレオマイシン
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抄録

スフィンゴシン1リン酸(S1P)はS1Pレセプターに結合することで細胞外メディエーターとして細胞の基本的なプロセスに影響を与えることが示されている。 今回我々はS1P3レセプターノックアウト(KO)マウスを用いブレオマイシン誘導肺線維症モデルを作成することで、炎症性疾患におけるS1P3レセプターシグナルの役割について検討を行った。結果は急性期においてKOマウスでは野生型(WT)マウスに比し体重減少は軽度で、炎症細胞浸潤も軽度であった。また気管支肺胞洗浄液(BALF)中の総細胞数はKOマウスで減少を認めた。慢性期においては肺の線維化がKOマウスではWTマウスに比し軽度であることが示された。BALF中のサイトカイン・ケモカイン濃度をELISA法で測定したところ、TGF-β1、MCP-1に関してはWTマウスとKOマウスで明らかな差を認めなかったが、CTGFに関してはKOマウスの方がWTマウスに比較して有意に低下していた。CTGFを介したS1P3レセプターシグナルが肺の線維化に重要な役割を果たしていることが示唆された。これらの結果はS1P3レセプターシグナルはブレオマイシン誘導肺線維症モデルにおける炎症惹起および肺の線維化形成において重要な役割をはたし、S1P3レセプターが炎症性疾患の治療ターゲットとなる可能性を示唆するものと考える。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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