日本臨床プロテオーム研究会要旨集
第1回日本臨床プロテオーム研究会
会議情報

研究発表
自己免疫疾患モデルマウス腎臓における糖鎖異常
*川崎 ナナ橋井 則貴伊藤 さつき原園 景松石 紫川西 徹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 14-

詳細
抄録

関節リウマチ患者や各種自己免疫疾患モデルマウスにおいて、血清中のIgGの糖鎖構造異常が発見され、自己免疫疾患とIgG糖鎖生合成異常の関係が指摘されている。また、糖鎖生合成関連酵素をノックアウトしたマウスでは、ヒト自己免疫疾患に類似した腎障害を発症することが報告されている。我々は、自己免疫疾患と糖鎖異常の関連性を明らかにするため、全身性エリテマトーデス(SLE)ループス腎炎発症モデルマウスと正常マウスの腎臓を用いて、タンパク質発現解析、並びに糖鎖差異解析を行った。 はじめに、2D-DIGEによりタンパク質発現解析を行ったところ、SLEモデルマウス腎臓では100kDa付近の比較的分子量の大きい膜タンパク質の発現が低下していることが明らかになった。そこで、腎臓膜画分と可溶性画分からN結合糖鎖を切り出し、重水素置換2-アミノピリジンによる誘導体化とLC/MSnによる定量的糖鎖プロファイリングを用いて糖鎖の違いを調べた。その結果、SLEモデルマウス腎臓の膜画分では糖鎖結合量が減少し、可溶性画分では糖鎖結合量が増加していることが明らかになった。 以上のことから、SLEモデルマウス腎臓では、膜糖タンパク質の発現が低下している可能性が示唆された。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top