関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P10-3 選択的な注意が要求される歩行課題の実践
袴田 友樹千鳥 司浩
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p. 172-

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抄録

【目的】Yamada は選択的な注意を要求するMulti-Target Stepping Test(以下MTS)を開発し、転倒予防に対する介入課題としての有効性を報告している。今回、バランス能力低下が生じた骨折患者に対して、選択的な注意を要求する課題を実践し良好な結果を得たため報告する。

【症例紹介】90 歳代女性、右恥骨骨折と診断され保存的加療となった。入院前は屋内の生活が自立、足元の状況判断を誤り躓きや滑りが生じ、複数回転倒した経験があった。22 日目評価ではTUG は13.3 秒、TUG 二重課題

(DT)18.9 秒、FSST 14 秒、POMA24 点、FBS46 点であった。

【倫理的配慮】本発表はヘルシンキ宣言に基づき、症例に発表の趣旨を書面にて説明し同意を得て実施した。

【介入および経過】歩行練習、動作指導に加えて、選択的な注意を要求する歩行課題を22 日目より実践した。3m 歩行路に3 色のターゲットを7 列配置し、指定された色のターゲットを踏みながら歩き、それ以外は避けながら歩いた。

介入期間は3 日間、頻度は10 分/日、介入回数は3m×3 回×4 セット実施した。踏み外し回数、誤侵入を記録し、課題に要した時間を算出した。介入1 日目:踏み外し回数3 回、誤侵入4 回、所要時間13.6 秒、介入3 日目:踏み外し回数0 回、誤侵入0 回、所用時間13.1 秒であった。25 日目評価ではTUG10.8 秒、TUGDT16 秒、FSST10.8

秒、POMA28 点、FBS53 点と向上を認めた。

【考察】Yamada はMTS 課題後にTUG の成績が向上したこと、また踏み外しエラーが転倒の発生に影響していたと報告している。本症例ではバランス能力が向上し、さらに踏み外しが改善した。これは通常のプログラムに加え、歩行課題として選択的な注意とバランス反応を要求したことが影響し、踏み外しやバランス能力が改善したことが示唆された。

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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