関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: P-092
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療養型病院における量と質に着目したQOL向上への取り組み事例
石井 大輔土屋 倫子北村 真治郎
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キーワード: QOL, 療養型病院, 量と質
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抄録

【はじめに】近年QOLという言葉が様々な場面で使われている。その評価は患者の主観的立場で行うことが基本とされ質問形式や記述式であるものが多く、意思疎通や書字が困難な患者が多い施設では難しい。そこで主観的な評価は難しくともQOL向上に必要な要素を「関わる時間と質」と考え、それぞれの環境整備に取組み良好な結果を得られたのでここに報告する。

【説明と同意】本事例には発表の主旨を説明し同意を得た

【事例紹介】●施設概要 病床数:222床、平均在院日数:886日、平均年齢:85.4歳、平均介護度:4.5、スタッフ数:PT4名、ST1名、マッサージ師1名●課題と対策 課題を過剰な臨床外業務と非効率な労働環境により職員の能力が十分に発揮できないことによるリハビリの量と質の低さと考えた。そして提供する量を増やす為に人員配置、作業工程、作業導線の見直しやデータベース化などによりムラ、ムリ、ムダを省き限られた資源を有効活用できる環境を整備して臨床時間を捻出した。また質を高める為に職員の知識・技術の向上に加え、患者・家族参加型のイベントや写真撮影会などを実施した。●結果 実施単位数:121.6%増、月間平均介入数:128.6%増。そして患者が離床して家族と過ごす時間が増えたこと、それを写真に残す機会を設けたことに対して家族から好評を得た。

【考察】維持期のリハビリでは機能回復の余地が減少し明確な目標が立てにくくなり漠然とQOLという言葉を使用してしまうことがある。しかしQOLとは構成概念であり明確な定義が無い。今回QOL向上に必要な要素を具体的に示し、職員間で共通の行動目標としたことが提供するリハビリの量と質の改善に寄与したと考える。 QOLに対する考え方は様々で今回の事例も数ある捉え方の一つでしかない。しかしQOL向上に共通して必要なことは職員が患者、家族と接する時間を多く持つこと、職員が心身共に働きやすい環境を作ることではないかと考える。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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