関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: P-074
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首下がりを呈した変形性脊椎症の症例- 車椅子上座位のポジショニング改善によるQOLの向上を目指して-
葉山 実玖
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抄録

【はじめに】宮腰らは、脊柱変形が生じるとQOLが低下すると述べている.今回、頸椎〜腰椎に著明な変形が生じている症例を経験した.また同時に首下がりも呈し、日常生活に大きく影響を与えていた.本症例に対しQOL向上を目的に車椅子上座位に介入した結果、改善が認められたため報告する.

【説明と同意】ヘルシンキ宣言に則り本人・家族に説明し同意を得た.

【症例紹介】80代女性、X日にTh7圧迫骨折で入院.入院前は独居車椅子生活.本人Hopeは痛みや疲れなく座っていられるようになりたい.家族Hopeは首が少しでも上がって食事や会話をしやすくしたい.

【評価(X+5日)】車椅子上座位:頸椎後彎・左回旋・右凸側彎、胸椎後彎・右凸側彎、骨盤後傾・左挙上、股関節左内転・内旋.疼痛:右頸部後面NRS5、左右腰部・尾骨部NRS3 〜4、左股関節外側部NRS4.視野:前方は自分の足趾まで、左側は見えない.会話姿勢は人と視線が合わず、食事は机から大腿部に載せかえて摂取.14項目QOL調査票:36点.

【治療内容】脊椎変形に対するポジショニング、家族指導、筋力訓練.

【再評価(X+19日)】車椅子上座位:タオルの挿入、座高の調節により首下がり、骨盤、股関節の不良姿勢改善.疼痛:右頸部後面NRS4、左右腰部・尾骨部NRS3、左股関節外側部NRS0.視野:前方へ拡大し会話姿勢は人と視線が合うように、食事は机が見えるように改善.14項目QOL調査票:43点.

【考察】田村らは、不良座位姿勢に対するシーティングを行うことは、車椅子使用者のQOLを向上する意味で重要であると述べている.本症例は脊柱変形による車椅子上座位の姿勢不良が視野制限をきたし、食事や会話等に影響を与えていた.今回これらの改善を目指しポジショニングを実施した結果、ストレス軽減、食事・会話時の視野拡大に至り、車椅子上座位の改善による変形の進行予防、QOLの改善に繋がったと考察した.

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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