関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: P-057
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たこつぼ心筋症に対する心臓リハビリテーションの経験
佐藤 梓
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抄録

【はじめに】たこつぼ心筋症は、明確なガイドラインが定められておらず、多面的に検討されているが、未だ発症機序が不明な点が多い疾患である。本疾患の急性期から再発予防のリハビリテーションに関する報告は希少なため以下に報告する。

【症例】70代女性、BMI:22.37、診断名:たこつぼ心筋症、既往歴:十二指腸潰瘍、高血圧、脂質異常症、糖尿病

【現病歴】ボランティアでの歌唱中に胸痛生じ、当院へ搬送。心エコーにて心基部過収縮、心尖部低収縮を示し、心電図ST上昇、L/DにてCK、トロポニンIの上昇、冠動脈カテーテル検査にて有意狭窄なく、たこつぼ心筋症の診断となる。

【介入時評価】COM:良好、循環動態:安静時BP120/78mmHg HR80bpm(SR)SpO2 96%、胸部症状:圧迫感、MMT:n.p、ROM:n.p、Barthel Index:90点以上(階段未評価)

【経過】急性心筋梗塞同様のプロトコールに準じて介入し、合併症なく自宅退院。31病日目外来受診時では心電図、心エコーでの左室駆出分画、左室壁運動異常は改善していた。

【考察】本疾患は、発症急性期での合併症が予後を左右するとの報告があり、その中でも機械的合併症を呈した場合は予後が重篤になる為、介入時には血行動態を二重積にて厳重に管理し、併せて動作・呼吸指導を実施した。 また本疾患は身体的・精神的ストレスが先行するといわれているため、その原因を追究し、改善することで再発予防に努めた。本症例は施設を巡り歌唱披露をするボランティア活動を生きがいとしており、人前での歌唱によるポジティブストレス“Happy Heart”や、活動が多忙である事からのネガティブストレス“Broken Heart”両者の精神的ストレスが存在していたと考察し、歌唱披露に対しては連続歌唱を制限、多忙に対してはタイムマネジメントをする事での再発予防を図った。現在は外来通院にて経過を追っている。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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