関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: O-102
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口述
回復期脳卒中患者の意欲が機能改善に与える影響
佐々木 泰彦岩本 紘樹生方 雅人
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キーワード: 脳卒中, 意欲, バランス
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抄録

【目的】良好なリハビリテーション(以下、リハ)の帰結のために患者の意欲は重要であり、意欲と日常生活動作の関連報告は多々見られる。一方、機能評価を用いた報告は十分にされていない。そこで、バランスの指標であるBerg Balance Scale(以下、BBS)を用いて機能改善と意欲の関連性を調査した。また、意欲との関連を示さなかった者の特徴を把握することで、より効率的なリハを提供するための一助とすることを目的とした。

【方法】本研究は当院倫理審査委員会の承認を得た上で行った(承認番号180701号)。対象は2018年4月から同年12月に回復期病棟に入院した脳卒中患者のうち、Vitality Index(以下、VI)及びBBSが測定可能であった26名とした。初発ではない者、入院時にBBS満点であった者は除外した。機能評価のアウトカムをBBS利得(入院期間で変化したBBSの差)、BBS利得をBBS満点と入院時BBSとの差で除したBBS改善度とした。統計解析は入院時VIとBBS利得、BBS改善度それぞれの関連性をSpearmanの順位相関係数を用いて検討した。有意水準は5%とした。

【結果】中央値(範囲)は、入院時VI8点(3−10)、BBS 利得7点(-2−56)、BBS改善度0.55(-0.05−1)であった。 入院時VIとBBS改善度との間に有意な正の相関を認めた(rs=0.493)。VIのカットオフ値7点以上で意欲は高いが改善度の低い者は注意障害を有し、7点未満で意欲は低いが改善度の高い者は運動麻痺は軽度だが自発性が乏しい傾向にあった。

【考察】入院時VIが高い患者はBBS改善度が高い傾向にあった。この結果は、意欲と日常生活動作の関連を示す報告と同様であり、入院時の意欲は機能改善に影響を与える可能性が示唆された。今後は対象者を増やすとともに高次脳機能評価との関連を踏まえ検討していく必要がある。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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