関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: O-100
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口述
異なる認知負荷および課題の優先順位付けの条件下における脳卒中者の認知・運動干渉の特性の検討
大角 哲也原田 亮臼田 滋
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キーワード: 二重課題, 脳卒中, 歩行
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抄録

【目的】二重課題(Dual-Task: DT)では認知・運動干渉(Cognitive Motor Interference: CMI)が生じる。本研究の目的は脳卒中者および健常成人のDTにおける異なる認知負荷と課題の優先順位付けの影響を比較し、脳卒中者のCMIの特性を分析することである。

【方法】対象は脳卒中者26名と年齢をマッチングした健常成人26名とした。運動課題はTimed Up and Go Test (TUG)、認知課題は3または7ずつ引く減算課題(serial 3s: S3,serial 7s: S7)とした。DT は2種類の認知負荷および2種類の課題の優先順位付けの指示として「歩行と減算課題の両方ともに集中して下さい」(no priority: NP)と「主に減算課題に集中して下さい」(cognitive priority: CP)を合わせた4条件で計測した。TUGのST に対するDTの変化率(Dual Task Cost: DTC)を算出した。統計処理はDTCの群間、認知負荷、課題の優先順位付けの主効果および交互作用の分析に2×2×2の三元配置分散分析を用いた。有意水準は5%とした。

【倫理的配慮】当院倫理委員会にて承認を受け、対象者に研究内容を説明し同意署名を得た。

【結果】DTC(%)は脳卒中者、健常成人にてそれぞれS3・NPで16.8±20.6、20.0±21.7、S3・CPで21.8±24.8、20.3±19.5、S7・NPで29.0±32.0、21.2±19.0、S7・CPで34.7±43.8、30.4±34.6であった。三元配置分散分析の結果、群間×認知負荷×課題の優先順位付けおよび群間× 認知負荷、群間×課題の優先順位付けの主効果を認めず、認知負荷の主効果(p<0.01)および課題の優先順位付けの主効果(p<0.01)を認めた。

【考察】脳卒中者は健常成人と同様に認知負荷が増加した場合、また認知課題に集中するように指示した場合にCMIが増加したことが示唆された。脳卒中者の歩行障害が比較的軽度であったため、健常成人と比較したCMIの特徴が現れにくかった可能性があることは本研究の限界である。

【まとめ】異なる認知負荷および課題の優先順位付けの条件下にて脳卒中者におけるCMIは健常成人と同様の傾向を示す。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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