関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: O-099
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口述
回復期病院における被殻出血の血腫の変化とFIM利得・効率との関連性
千田 大貴山田 聖一臼田 滋
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キーワード: 被殻出血, 血腫量, FIM
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抄録

【目的】被殻出血において、血腫の量や進展具合と機能障害等を分析した報告が多い。しかし、血腫の変化と関連性を見た報告は見られない。本研究では、被殻出血における血腫の変化と、急性期・回復期病院のFIMおよびmFIMの利得および効率との関連性を明らかにすることを目的とした。

【方法】平成26年度〜平成29年度の間に、被殻出血の診断で当院に入院した22名(男性:18名、女性:4名、年齢:60.95±13.50歳)を対象とした。発症時・転院時の血腫量、転院時までの血腫減少量および吸収率と、急性期・回復期でのFIM・mFIMの利得および効率との関連性をSpearmanの 順位相関係数にて検討し、有意水準は5%とした。血腫量はCTより最大前後径×最大左右径×最大上下径×1/2で求め、血腫減少量は発症時と転院時の差、吸収率は血腫減少量を急性期日数で除して求めた。

【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に基づき研究計画書を作成し、当院倫理委員会から承認を得た。

【結果】発症時血腫量は、急性期FIM効率、回復期FIM・mFIM利得と有意な相関を認めた(rs=-.449 〜 .528)。転院時血腫量は、急性期FIM・mFIM利得、回復期FIM・mFIM利得と有意な相関を認めた(rs=-.428 〜.500)。血腫減少量は、回復期FIM・mFIM利得および回復期FIM効率と有意な相関を認めた(rs=.432〜 .452)。血腫吸収率は、回復期FIM・mFIM利得・効率と有意な相関を認めた(rs=.449 〜.544)が、急性期の各項目とは認めなかった。

【考察】血腫の変化はFIMの変化と少なからず関連することが考えられる。当然、部位・進展方向等により出現する症状や状態が異なるため、単純な意義づけは困難であるが、血腫量の変化とFIMの変化の関係を知ることは、臨床でも価値があると考える。

【まとめ】被殻出血における各血腫の情報は、主に回復期のFIM・mFIM利得との関連が示された。結果から回復期病院において血腫量等の情報はFIM利得を予測する一助となる可能性が示唆される。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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