関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-043
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フレッシュマン
肺炎を繰り返していた脳幹出血後の症例に対する訪問リハビリでの取り組み
佐々木 彩乃黒澤 美奈子堀口 彩塚越 正章
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抄録

【はじめに】頻回に肺炎を繰り返す脳幹出血後の症例に対し、排痰補助装置を導入し、多職種連携にて気道浄化および離床やポジショニングを行った。その後肺炎なく経過した症例を経験したので報告する。

【症例】50歳代男性、x年12月右橋出血にて重度四肢麻痺、嚥下障害を認め気管切開術施行、胃瘻造設。リハビリ目的で転院するもその後肺炎を繰り返し病院を転々とする。x+4年3月当院併設のサービス付き高齢者住宅へ入居、酸素投与のみであったが自発呼吸が安定せず換気不全が懸念された為、夜間のみ人工呼吸器導入となる。また気道分泌物、流涎著明で頻回な吸引が必要な状態で本人の拒否が強くみられていた。起居動作は全介助、体幹の支持性および座位の耐久性は著しく低下していた。胸部CT所見では、両下葉背側にて気管支壁の肥厚、右S6 区域に結節陰影を認め、下側肺の肺炎を繰り返していたことが疑われた。尚、ヘルシンキ宣言に基づき、本症例に対し説明を行い同意を得た。

【介入経過】気道浄化のため排痰補助装置を導入し、週2 回の訪問リハビリに加え、訪問看護にて日常的に排痰を行った。導入1 ヶ月で吸引回数は減少し、その後は医師の指示のもと排痰状況に応じて適宜設定変更を行った。 気道分泌物の減少によりスピーチカニューレにて発語練習が可能となった。多職種が介すカンファレンスでは、離床の重要性を共有したうえで起居および移乗動作の介助方法やポジショニングを指導し臥床時間の短縮を図った。介入から約1年が経過する現在も肺炎なく過ごせている。

【考察・まとめ】脳血管障害における長期臥床は呼吸器合併症を来たすリスクを高め、さらに嚥下障害を伴う場合は唾液による誤嚥性肺炎を引き起こしADL低下の要因となる。これらの認識を多職種間で共有し、排痰補助装置による気道浄化、離床やポジショニングを行ったことで、肺炎を繰り返す脳幹出血後の症例に対する呼吸器合併症の予防が可能であった。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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