理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 773
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生活環境支援系理学療法
ケアプランが変更となった症例
―PT・CM・CDEJの役割を通じて―
*横山 孝之
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抄録

【はじめに】訪問看護ステーションで、訪問リハビリ(以下訪問)が関わったことによってケアプランが変更となった症例を経験した。「リハビリ」であるので、セラピストとして身体機能面の改善を最優先するのは当然であるが、ケアマネージャー(以下CM)・糖尿病療養指導士(以下CDEJ)の観点も加えて訪問を行い、全てを考慮し、訪問サービスから通所サービスへ移行したほうが有効と考え、検討の結果通所サービスへケアプラン変更となった。在宅では様々な観点からアプローチしていくことが訪問では不可欠であると実感した症例であった。
【症例紹介】女性 86歳 診断名 両側変形性膝関節症・糖尿病・不整脈・心肥大・緑内障・白内障 家族構成等 夫と二人暮しで、主な介護は夫が行っている。夫は外出する機会が多く、本人は日中一人で過ごすことが多くあった。子供は遠方におり、援助は求めにくい。
【現病歴・経過】平成15年9月11日~11月30日まで入院。当初はHbA1C10.4、血糖値は平均300台あった。糖尿病治療のため、薬物療法・食事療法・運動療法(看護師による)を受ける。その後、体重は64kgから52kgへ、HbA1C7.4、血糖値平均200台に改善し、退院。その後自宅にて療養。介護保険の認定を受け、介護度2。本人は通所サービス等の利用は好まないとのことで、担当CMは、環境整備・糖尿病・変形性膝関節症に対する運動療法等の目的で訪問リハビリを選択する。翌年の1月21日より訪問開始。設置した手すりやベッドなどの位置を確認し、運動療法を主に在宅での運動方法の指導を進める。配食サービスは受けているが、それ以外は惣菜などを夫が与えていた。開始して数週後、低血糖にて緊急入院。訪問は一時中止となる。退院後、夫の外出することが多いこと、食事のカロリーコントロールが上手く出来ていないこと、週1回の訪問では、運動効果に限界があることなどを考慮し、PTとしてCMの考えを踏まえてデイサービスの利用を再提案。本人・家族・担当CMと話し合いの末、試験的にデイサービスを利用することになる。開始するにあたって、入院中は食事指導のみ受けており、PTとしてホームプログラム・デイサービスでの個別メニューを作成した。また在宅で低血糖症状などの不測の事態に対してCDEJとしてその対応を本人・家族に指導した。通所サービスの利用と共に訪問は終了となる。通所サービスはその後も継続して通えている。
【考察】PTとしてのみ訪問サービスを提供することは容易である。しかし在宅を担う立場にあるスタッフとして、ケアプランに様々な要素を組み込んでいくことがより良いプランの作成につながる。様々な職種を持つCMがおり、PTは新しいヒントを提供できる立場にあると感じ、訪問ではまたそういう立場でならなければならないと思われた。

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© 2005 日本理学療法士協会
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